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占星術の教義

占星術の教義は、統一されているとはいい難いです。占星術師ごとに言っていることが違うなど、しばしばなのです。ときには、まったく正反対のことを言っていることさえあります。しかし、共通する基本がないわけではありません。現在の占星術の教義は、ほとんどがプトレマイオスの『テトラビブロス』に則っています。その基本教義とは、惑星〔planet〕・黄道十二宮〔zodiac〕・十二室〔house〕・相〔aspect〕の4つです。
十二室の事を家とか宿ということもあり、相のことを角度という事もあります。
惑星 planet
占星術における惑星とは、黄道十二宮を恒星天と逆行する星のことをいい、太陽や月をも含みます。
恒星天とは古代ギリシャの天文学において、恒星が散りばめられていると想像した天球で、地球を中心として最も外側にある球殻で、一様に回転しているとされました。『テトラビブロス』では、七惑星でしたが、後に天王星・海王星・冥王星も発見されて追加されるようになったのです。
一部の占星術師は、小惑星をも要素に入れるべきだと主張しています。

記号

惑星

天球

シュメールの神

バビロニアの神

エジプトの神

ギリシアの神

ローマの神

曜日

金属

表象

第1

ナンナル

シン

コンス

アルテミス

ディアナ

月曜

感性、感情、受容性、女性、変化

水星

第2

両性

グドゥド

ナブ

トート

ヘルメス

メルクリウス

水曜

水銀

知性、鋭敏、雄弁、交流、怜悧

金星

第3

イナンナ

イシュタル

イシス

アフロディテ

ウェヌス

金曜

美、優雅、魅力、芸術性、社交性

太陽

第4

ウトゥ

シャマシュ

ラー

アポロン

アポロ

日曜

生命、活力、男性、権威、支配

火星

第5

ムスタバッル

ネルガル

セト

アレス

マルス

火曜

精力、勇気、衝動、攻撃、情熱

木星

第6

サグ・メ・ガル

マルドゥク

オシリス

ゼウス

ユピテル

木曜

楽天、寛大、高貴、荘厳、膨張

土星

第7

サグ・ウシュ

ニニブ

ホルス

クロノス

サトゥルヌス

土曜

悲観、自制、着実、制約、収縮

天王星

第8

ウラノス

ウラノス

独創、霊感、自由、個性、孤立

海王星

第9

ポセイドン

ネプトゥヌス

神秘、曖昧、幻想、想像、流動性

冥王星

第10

ハデス

プルートー

変革、死、再生、破局、動乱

地球

黄道十二宮 zodiac
あらゆる惑星は太陽の軌道である黄道を逆行しながら動きます〔正確には上下8度の差はありますが〕。
この帯を30度ずつ12等分したものが、黄道十二宮です。春分点(いわゆる春分の日)を基準とし、恒星天上の星座名であらわされますが、正確にはその位置は同一ではありません。最初に定められた紀元前には一致していましたが、最差運動によって約2000年間に一宮ずつずれてしまっています。現在では、十二宮は惑星の位置を記述する尺度以外の何物でもありません。
ただし、これを批判し、十二宮は現在の天体の位置で計算すべきであると主張する占星術師もいます。

記号

星座名

標準期間

漢訳

ローマ名

ラテン名

カルディアでの分類

支配星

象徴

2分

3分

4分〔四元素〕

1

おひつじ

3月21日〜4月20日

白羊宮

アリエス

Aries

労働者

火星

意志力、指導

運動

2

おうし

4月21日〜5月20日

金牛宮

タウルス

Taurus

星と天の牡牛

金星

豊穣、想像

不動

3

ふたご

5月21日〜6月21日

双子宮

ゲミニ

Gemini

牧者と双子

水星

両面価値、智恵

流動

4

かに

5月22日〜7月22日

巨蟹宮

カンケル

Cancer

支え、命、冥界

運動

5

しし

7月23日〜8月22日

獅子宮

レオ

Leo

大犬、獅子

太陽

権威、力、輝き

不動

6

おとめ

8月23日〜9月22日

処女宮

ビルゴ

Virgo

耳のとがった処女

水星

批判、道徳、楽園

流動

7

てんびん

9月23日〜10月21日

天秤宮

リブラ

Libra

ジバニトゥム

金星

正義、審判、美

運動

8

さそり

10月22日〜11月21日

天蝎宮

スコルピウス

Scorpius

火星/冥王星

不死、英知

不動

9

いて

11月22日〜12月21日

人馬宮

サギッタリウス

Sagittarius

蠍の尾、蠍人

木星

理性/感情、自由

流動

10

やぎ

12月22日〜1月19日

磨羯宮

カプリコヌルス

Capricornus

山羊魚

土星

栄華、熱望

運動

11

みずがめ

1月20日〜2月18日

宝瓶宮

アクアリウス

Aquarius

大星

土星/天王星

浄化、独立

不動

12

うお

2月19日〜3月20日

双魚宮

ピスキス

Pisces

星と魚群

木星/海王星

霊魂、新生

流動

ジバニトゥムは意味不明です。 2分・・・黄道十二宮を女性の宮と男性の宮に分けた場合 3分・・・運動の宮は春分点や夏至点などを司ります。不動の宮はその性質が長続きします。流動の急はその中間にあり、始めのうちは不動の宮の性質を持ち、後半になると運動の宮の性質に近づきます。

十二室 house
十二室とは、黄道十二宮や星座など目に見える天の彼方に、目に見えない不動の第9の天が存在するという考えから生まれました。地球の日周運動〔自転〕によって、全天は1日に1回転します。そこで、ある時点、ある地点において、東の地平線上にある位置を上昇点〔ascendant〕といい、西の地平線上にある位置を下降点〔descendant〕といいます。
そして、上昇点を始点として、全天を十二分割したものを十二室といいます。特に、誕生時のホロスコープを作成するときに、この十二室が重要です。
室と室との境界線をカスプといい、カスプに位置する惑星や星座は、次の室に入るものとみなします〔第一室と第二室のカスプは第二室に属します〕。
第一室から第六室までは地平線の下になるので、本人の内面や個人的事情をあらわすものであります。
また、大地はすぐ足元にあることから、身近な事柄に関係します。逆に、第七室から第十二室までは地平線上にあり、友人や外部との関係をあらわします。
天空は遠くにあることから、遠距離の事柄に関係します。伝説によると・・十二室を定め、名前を決めたのはヘルメス・トリスメギストスであるとされ、それぞれの室の運命の意味を定めたとされています。
つまり、それぞれの室は、人や国家の運命のそれぞれ違う面を司っているのです。現在、占星術で使われるホロスコープとは、この十二室の第一の室ホロスコプスのことでした。それが転じて、この十二室を使って格人の運命をあらわす表の事も、ホロスコープというようになったのです。

アスペクト名

和名

角度

記号

★コンユンクティオー

0

セミセクストゥス

十二分

30

セミクウィントゥス

十分

36

ノナゴン

九分

40

セミクワルトゥス

半矩

45

セプトゥス

七分

51

★セクストゥス

六分

60

クウィントゥス

五分

72

★クワルトゥス

90

ビセプトゥス

103

BS

セスクウィクウィントゥス

十三分

108

TD

★トゥリヌス

三分

120

セスクウィクワルトゥス

135

ビクウィントゥス

144

BQ

クウィンクンクス

150

トゥリセプトゥス

154

TS

★オッポシティオー

180

アスペクト名の前に★がついているものが大アスペクト、それ以外が小アスペクトです。

相〔アスペクト〕 aspect
相〔アスペクト〕とは、二つの天体が、黄道十二宮の中でどのような角度をなしているかをあらわすものです。相については、バビロニア人も知っていたとされますが、ケプラー〔ケプラーの法則を発見した天文学者ですが、占星術師としても正確な惑星表と正確な計算を行う事で優れた業績を残しています〕によって、より深い研究が行われました。天体がなす角度は無数ありますが、そのなかで重要なものとして、5つの大アスペクトと12の小アスペクトがあります。
しかし、現在の占星術では、小アスペクトを使用することは滅多になく、ほとんど大アスペクトのみが使用されています。また、惑星が厳密なアスペクトをなすことは少ないです。そこで、大アスペクトになっているかどうかの判断は、10度くらいの誤差は許されるものとします。例えば、二つの天体は占星術的には合(0度)をなしているといえるのです。アスペクトには、吉凶があります。衝(180度)になると二つの天体から両側に引っ張られる事になり、非常に不安定で凶のアスペクトであるのです。同様に、矩(90度)や半矩(45度)も衝ほどではないにせよ、凶のアスペクトなのです。逆に、三分(120度)は吉のアスペクトです。特に、互いに三分の相をなす3つの惑星が存在すると、美しい正三角形を作り、非常に良い兆候とみなされます。同様に、六分(60度)や十二分(30度)も吉ではありますが、その意味は段々と弱まっていきます。

プトレマイオスの室名

欧文

その意味

マニリウス

マテルヌス

現在の意味

獣帯

惑星

1

ホロスコプス

Horoskopus

時の見張り

財産

生命全般の解明

個性、肉体、外見、運命

白羊宮

火星

2

ポルタ・インフェルナ

Porta inferna

下界の門

軍隊

天分、富、財産

財産、経済力、金銭感覚

金牛宮

金星

3

デア

Dea

女神

市民的仕事

兄弟

知性、強大、近距離伝達

双子宮

水星

4

イームム・コエリー

Imum coeli

天底

裁判

両親との関係

家庭、異性の親、晩年

巨蟹宮

5

フォルトゥナ・ボナ

Fortuna bona

良き運命の女神

結婚

子供運

愛、創造、道楽、芸術

獅子宮

太陽

6

フォルトゥナ・マラ

Fortuna mala

悪しき運命の女神

健康

仕事、健康運、雇用関係

処女宮

水星

7

オカスス

Occasus

落ちるもの

危険

結婚、対人関係、敵と友人

天秤宮

金星

8

ポルタ・スペルナ

Porta superna

上界の門

高貴さ

死、性、遺産、霊能力

天蝎宮

火星/冥王星

9

デウス

Deus

子供たち

宗教、旅行

精神、宗教、遠距離伝達

人馬宮

木星

10

メディウス・コエリー

Medium coeli

天頂

家族

権勢

業績、地位、同姓の親

磨羯宮

土星

11

ゲニウス・ボヌス

Genius bonus

善霊

健康

幸福

友情、願望、所属団体

宝瓶宮

土星/天王星

12

ゲニウス・マルス

Genius mals

悪霊

願望

不幸

障害、秘密、潜在意識

双魚宮

木星/海王星

マニリウスとは、マルクス・マニリウスによる分類です。 マテルヌスとは、フィルクス・ユリウス・マテルヌス〔4世紀のローマの元老院議員で『マテシス』を著します〕による分類です。

中国の占星術も、インド同様バビロニア起源のものが翻訳されたものを嚆矢〔最初〕とします。
それか、道教の教義によって独自の発展を遂げたものです。インド同様、月の二十八宿を加えて、太陰暦に則って、占われました。中国においては、太陽と月は惑星とみなされません。これは、それ以外の5つの惑星の数が、五行説にぴったり当てはまるからです。
そして、太陽と月は、陰陽説に使用されました。そして、この両者を合わせた陰陽五行説として、7つの星が扱われるのです。中国占星術の独自性は、地上が天空の鏡であるという西洋占星術の思想に加え、天空もまた地上の鏡であるという思想を持っている所にあります。
つまり、天空に何かが起これば、確かに地上に変化が起こるということです。しかし、逆に地上に変化がおきると、天空にもその影響が現れるのです。その顕著な例が易姓革命〔王朝の交替〕です。天子〔中国の皇帝は天の子なのです〕が乱れた政治を行うと天が嘆き、彗星を呼んだり、異常気象を起こしたりするのです。天の異変は、天子の徳が失われた証拠なのです。そこで、天の異変は、天子の交替を行う重大な典拠となるのです。このため、占星術は天子の独占するものとなり、民間には占星術は伝わらず、ずっと簡略化された〔元占星術だったもの〕が広まりました。
気学〔九気学や九星学〕や北斗七星占星術、紫微斗数などが、そうです。日本の占星術は、中国の直接的影響下にありました。平安貴族などは、この吉凶によって出かける日付を決めたり方違えをしたりと、生活を大きく支配されました。しかし、おもしろいのは、戦国武将たちと占星術の関係です。乱世に生きる彼等は、もちろん合理性実用性を重んじていました。
しかし、わずかな運不運が生死を分ける戦場に生きていた彼等は、また占術に一喜一憂する面もありました。特に、九星術による占いが盛んに行われたらしいです。当時、個人の命運を決めるいわゆる宿命占星術や運勢占星術は主流ではありません。戦争の時代に、個人の運勢など見ても無駄だからでしょう。その代わり、戦の吉凶を占う実用占星術や天変占星術といった占いは、盛んに行われました。軍配者と呼ばれる人々は、そのような部分を司るいわば魔術的軍師だったのです。つまり、戦国時代において、占星術は兵法だったのです。今までの十二星座に加え、蛇使い座を加えた新しい占星術の一派を十三星座占いといいます。多くの占星術では、実際の星座〔コンセントレーション〕と、占いに使う星座宮〔サイン〕は違うものです。というのも、地球の歳差運動により、長年の間に、この両者は大きくすれてしまっているからです。多くの占星術師は、占星術における星座宮は一種の魔術的象徴に過ぎないものであり、実際の星座とは無関係なものであると主張しています。しかし、それに反対する占星術師もいます。本来占星術とは、天体の動きが地上の人々の運命を左右するというものである以上、星座宮と星座に差があることはおかしいと考えるのです。そして、正しい占星術は、実際の星座にあわせて占うべきであると主張しています。ただし、こうする事で占星術を行うことは難しい技術となります。実際の星座は、30度ごとにきっちり天空を分割しているわけではないからです。しかし、この困難を乗り越えてこそ、占星術は正確な占いを行えるようになると考える人々もいます。しかし、このような人々にとって、大きな問題が起こりました。それが、1928年の世界共通星座表の作成です。黄道〔太陽の軌道〕上に、新たな星座がかかるようになったのです。それが蛇使い座です。古来、蛇使い座と蠍座は、一部の恒星を共用していました。つまり、蛇使い座の星でもありましたが、蠍座の星でもあったのです。
それゆえ、占星術的には、その星は蠍座の一部であるとして、何も問題はなかったのです。しかし、共通星座表の作成によって、一つの恒星は必ず一つの星座に属すると定められ、今まで共通使用されてきた恒星は、蛇使い座に属する事になってしまったのです。
これによって、黄道上に蛇使い座がかかっている事が確定してしまったのです。多くの占星術師は、その決定は科学者が勝手に決めたことであって、占星術的には、その恒星は蠍座に属するものとして扱うべきだと考えました。しかし、一部に、蛇使い座を取り入れた新しい占星術を作り出すべきであると考えた占星術師たちがいました。これが、十三星座占いの始まりです。