ドルイド
Druid
ドルイドは、【樫の樹の賢者】という意味のdaru-vidからつけられた名前だとも言われます。その名の通り、魔術師専業というわけではなく、神官・占い師・政治家・詩人・裁判官などを一手に引き受けるケルト人の精神的支柱となる人々のことです。ドルイドは戦争に行かず、税も払わない。このため、多くの志願者がいましたが、その修行は大変なものでした。
膨大な量の詩歌を記憶しなければならないのです。しかも、文字を使ってはいけないのです。このため、長いものは20年もの歳月を学習に費やさねばなりませんでした。日常の記録などは、ギリシア語などを使用し、後には独自のオガム文字なども作りました。ドルイドは、太古の昔は、一人で賢者の役割を果たしていましたが、後には神官〔ドルイド〕・預言者〔ウァテス〕・詩人〔バルド〕の三階級に分かれました。口承伝授すべき内容が増えすぎて、とても一人の人間が覚えきれる量でなくなってしまったからです。三階級の任務は、次のようなものでした。最下位の詩人〔バルド〕は、氏族の系図を記憶し、族長たちの武勲や伝承をロット〔琴〕の調べにのせて謡います。預言者〔ウァテス〕と神官〔ドルイド〕は、共に祭司ではありますが、ウァテスは自然科学、天文学、占いなどを学び、祭儀の外部の仕事と生贄の執行を担当しました。ドルイドは神学、倫理学、法律などを学び、ウァテスを指導しました。
ウァテスはドルイドの代弁者であって、ドルイドの援助がなければ一切の祭祀を行うことができなかったからです。つまり、ドルイドこそが、宗教上の指導者であり、裁判官であり、時には政治上の指導者でもあったのです。ドルイドの教えがかたまったのは、意外と遅いです。少なくとも、大陸のケルト人がローマの支配下に入ったあとのことです。このため、ドルイドの教義はブリタニア〔今のイギリス〕で起こりました。そのため、奥義を学ぶものは、ブリタニアまで行く事になったのです。全てのドルイドは、年に一度、カルヌーテース族の領地〔セーヌ川南方〕にある聖地に集い、会合を開きます。
この会合には、最高神官も出席します。最高神官は世襲ではなく、長が死ぬと、残ったドルイドの中で最も高位にあるものが跡を継ぎます。
同等の者が複数人いる場合は選挙が行われますが、時には武力で決着をつけることもあったといいます。国境争いや相続、殺人などの争いがおこると、人々はこの会合に願い出て、裁決を下してもらいます。この裁決に逆らうものはいません。というのも、ドルイドの裁決に逆らったものは、供犠を禁じられるからです。これは最悪の罰であり、人々は悪に染まるのを避けるため罪人を無視します。裁判も受けられず、あらゆる名誉を受けることもありません。
ゲッシュ
ゲッシュとは「誓い」の事です。基本的には、自分にかける呪縛であり、「天が落ち来たりて、我を押し潰さぬ限り、我が誓い破らるることなし」という言葉と共に、ゲッシュが行われます。特に、ケルトの戦士は、一人前になったことの証明として、自らゲッシュを行います。この誓いを守る限り、戦士は無敵で勇敢に戦うことができるといいます。他にも、戦争など重要な事柄に遇ったとき、ゲッシュを行って、その成功を祈るのです。しかし、この誓いを破ってしまったものは、その命に関わる災厄をこうむるとされます。逆に、敵のゲッシュを調べ、誓いを破らざるを得ないような状況に追い込んで破滅させるということも行われたようです。
|