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ドルイドの魔力

ドルイドの教えによれば、物質と霊魂は不滅で、人間の魂は転生します。
ただし、因果応報の考えが取り入れられており、罪の報いとして人間以外のものに転生することもありえました。また、あの世という概念も存在し、そこでは魂が自らのアイデンティティを保ちつつ暮らす事ができました。
そのため、死者に手紙を送るために手紙を燃やすといった行為も行われました。
さらに、来世において返してもらう金を生前に貸すということすらありました。ドルイドの魔力は、主に宿り木から得られました。宿り木とはヤドリギ科で、他の木に寄生する常緑樹です。
木の葉が枯れている時にも、青々としているところから、再生の力があると信じられてきました。
聖なる樫の木に神が宿り木を生えさせたのだと考えたのです。周囲の葉が落ちてしまった中、そこだけ青々とした宿り木に、ドルイドは神秘を感じたのでしょう。宿り木を採取するには、特別の儀式が必要でした。それは月齢6日目に行われ、白衣を着たドルイドが黄金の鎌を持って樫の木に登り、宿り木を伐ちます。他のドルイドは、樹の下で厚手の白い布を持って受け取ります。宿り木が地面に触れては、魔力が消えてしまうからです。同時に、2頭の白い牡牛が生贄に殺されました。こうして得られた宿り木は、パナケアと呼ばれる万能薬をはじめとして、さまざまな儀式や魔法薬に用いられました。他にも、いくつかの魔法の薬草の名前が知られています。これらも、特定の儀式によって摘まなければ、その効果を発揮しません。
例えば、「サモルス」という薬草は必ず左手で摘まねばならず、「セラゴ」は右手を白衣の左袖に通して摘まねばなりません。また、「アングィヌム」という魔法の卵についての伝承もあります。この卵には、蛇の毒が含まれているのですが、持っていると裁判に負けなくなるのです。ドルイドが予言を行う場合、生贄がささげられました。生贄の腹を裂き、その内臓や流れた血で占うのです。だから、敵の捕虜を尋問する必要すらないのです。腹を裂いて内臓を見れば、隠していることもわかってしまうのですから・・。ファンタジー小説などに登場するドルイドは、森に隠れ住む賢者であり、植物や動物を友とするというイメージがあります。本来のドルイドからすると違和感のあるこのイメージは、何処から生まれてきたのでしょう。それは、ローマ軍との戦いが原因です。ドルイドは、ローマに対抗するケルト人の指導者であった為、どうしても身を隠す必要がありました。
そこで、ローマ人の滅多にこない森の奥を根拠地とせざるを得なかったのです。ドルイドはゲリラ戦の元祖でもあります。ウィリアム・テルやロビン・フッドとその仲間などが森に隠れて代官に対抗するのも、このドルイドの伝統を継いでいるからなのです。特に、ロビン・フッドの仲間の荒法師タックなどは、表向きはキリスト教の聖職者ということになっていますが、言動からするとドルイドの後継者なのかもしれません。もちろん、ドルイドたちは自然崇拝を行っているので、聖なる樫の木などの多い森の中に住むのは、魔力を高める為にも有効であった事は否定できません。

タリエシン
ドルイドの中で最も有名な人物がタリエシン〔Taliesin〕です。ドルイドの長フ・アル・ブラスの妻は、白き妖精コリドゥェンでした。彼女は、夜の知恵を自分だけのために引き出そうと考え、釜に6種類の薬草〔金の草、ヒヨス、ハイハマポッス、クマツヅラ、サクラ草、クローバー〕を入れ、小人のコグリにかき混ぜさせたのです。盲目のモルダが1年と1日の間、炎を絶やさずに煮立てました。一年後、釜から三滴の液体がはねて、コグリの指にかかりました。厚さのあまり指をなめたコグリは、全てを知る偉大な知識を身につけました。三滴以外は全て毒であり、釜がひっくり返って失われました。コリドゥェンは秘伝が自分の手から失われるのを恐れ、コグリを殺そうとしました。コグリは変身して逃げ出しました。しかし、コリドゥェンはコグリが野兎になるとドグレイハウンドに、魚になるとカワウソに、鳥になればハイタカになり、ついには山積みの小麦の中に入って一粒の麦に変身したコグリを黒い雌鳥になって食べてしまいました。彼女の腹の中には行った知恵は、9ヵ月後に子供になって生まれてきました。夫のフ・アル・ブラスは子供を殺そうと考えましたが、コリドゥェンはあまりに赤ん坊が可愛いので殺す決心がつかず、揺りかごにいれて海に流してしまいました。とある族長の息子がかごを発見し、赤ん坊を見つけて叫びました「タリエシン!」。これは、「なんと晴れやかな顔だろう」という意味です。タリエシンは生まれながらに、ドルイドの知恵とバルドの歌を身につけていたとされます。