ユニコーンUNICORN
イギリス文学に、頻繁に出没する神聖な生き物として、あまりにも有名なユニコーンですが、その出自は今一つ不明確なものがあります。それは、神話としてではなくドルイド教の民間伝承として伝えられたことにもよるようです。外見上の特徴は、白い馬の姿をしていることと、1本の真っ直ぐとがった角があることでしょう。さらに、もしあなたの観察力が優れているならば、その目も知性をたたえているのがわかるでしょう。 ユニコーンの力のほとんどは、その角に秘められています。邪悪な力を払い、いかなる病気をもなおすことができるとされています。しかも、その力は、角だけになっても、すこしも弱まりません。それゆえに、ユニコーンを追い求め、その角を手に入れようとする狩人も後をたちません。しかし、頭がよく警戒心の強いユニコーンは、ある方法を用いなければ捕まえることはできないとされています。その方法とは、ユニコーンが唯一気を許すもの、つまり汚れを知らぬ乙女を使っておびき寄せるしかないのです。ひとたび気を許すと、日頃、気の休まる暇もないユニコーンは、どっと疲れが出てくるのでしょう、乙女の膝まくらで眠ってしまいます。そこを取り押えれば、捕まえることができます。また、乙女のいうことだけを聞く、ともいわれています。 こうしてつかまえたユニコーンの角は、魔法の薬の材料として、極めて高価に取り引きされるのです。それゆえ、19世紀にいたるまで、ロンドンでは、ユニコーンの角の粉が入った薬と称する物が本当に売られていました。しかしこの薬に入っていたのは、イッカククジラの角の粉だったのです。また、イッカククジラの角自体もユニコーンの角として取り引きされていたようです。それゆえに、今では、ユニコーンは、このイッカククジラを元に生まれた伝説であるとされています。 また、ユニコーンは、神聖な力の象徴として、獅子と共に王候貴族の紋章などに使われています。よく知られているものにスコットランド王家の紋章があります。 ユニコーンは警親心の大変強い生き物ですから、人間がユニコーンに害を与えないかぎり、ユニコーンから襲いかかってくることはまずありません。人間がユニコーンと出会えるのは、だれかの病気をなおしてもらうために、ユニコーンを連れに行く時ぐらいにかぎられるといっても過言ではないでしょう。しかし、それはよほどの幸運に恵まれるか、神の御加護でもないかぎり、大変難しいに違いありません。何といっても、すべての魔法の薬は、その効果に見合うだけの苦労と引き換えに、はじめて得られる物なのです。しかし、首尾よくみつけることに成功すれば、如何なる病も、たとえそれが邪悪な魔法によるものだとしてもなおすことができるでしょう。
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