
ゴーレム製造
カバラの秘術は色々ありますが、その中で最も有名なものが、ゴーレム〔人造人間〕の製造です。
ユダヤ学者ゲルショム・ショーレムによると、ゴーレムとは〔無形〕とか〔不定形のもの〕という意味があるといわれています。
【セフェール・イェツィラー】〔創造の書〕の秘密を解き明かせば、ゴーレムの作り方がわかるといわれています。
ゴーレムは秘儀により土くれから作り出す事が出来ます。11世紀のカバリスト、ソロモン・イブン・ガビロールは、召使いとしてゴーレムを作ったといいます。
この話を聞いた王がガビロールを罰しようと呼びつけたとき、彼は王の目の前でゴーレムを分解し、再び組み立てたといいます。
このことから、ガビロールのゴーレムは、もしかすると機械人形のようなものではないかとも考えられてもいます。16世紀プラハのシナゴーグ〔ユダヤ教会堂〕のラビ・レーフによってゴーレムが作られたという記録が残っています。
というのも、1580年代のプラハでは、ユダヤ人は迫害され、虐殺の危険すらありました。そこで、ラビは弟子たちとともにゴーレムを作り出したのです。ゴーレムは昼の間はシナゴーグの中庭に座っていましたが、夜になるとゲットーの周囲を見回って外部からの襲撃に備えたといわれています。
これは、1593年に皇帝がユダヤ人の保護を命ずるまで続いたといいます。同じく16世紀に、ケムルのエリアという男がゴーレムを作りました。しかし、このゴーレムは、世界を破滅させかねない危険な怪物になってしまいます。
やむを得ず、エリアはゴーレムの額のシェムを削り、土くれに戻してしまったといいます。17世紀になると、ユダ・ロェーブ・ベン・ベサベルという律法学者がゴーレムを作りましたが、非常にのろまで役に立たなかったといいます。もはや、秘儀の一部が失われていたものと思われます。ゴーレムの製造の記録は、16世紀に集中しています。当時、いかにユダヤ人が危険な状態にあったかを如実にあらわしているといえます。
残念ながら、20世紀にはゴーレム製造の智恵は失われていたらしく、ゴーレムがナチスからユダヤ人を守ったという記録は残されていません。ゴーレムは体のどこかに必ず【真理】〔エメト:emeth〕という文字が刻まれています(同様のことを記した紙を、口から頭の中に入れてもよいという説もあります)。
これを【シェム】〔Shem〕といいます。この一文字を削り【死】〔メス:meth〕に書き換えると、ゴーレムはその場で土くれに還るといわれています。
この文字は、額に刻まれることが多かったといわれています。
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