魔女
Maleficus,Witch,Wicca
魔女。鼻の曲がった老女で、黒い服を着ている。村はずれの森に一人で住んで、大きな鍋で魔法の薬をグツグツと煮込んでいる。ほうきに乗って空を飛び、猫やカラスを使い魔とする。魔女。悪魔と契約を結び、その尻に接吻する邪悪で淫蕩な反逆者。他人を呪い、疫病や飢饉をもたらす。いずれも、よく知られた魔女の姿です。では、魔女の実像は何なのか。それを知るためには、キリスト教の魔女狩りについて話さなければならないでしょう。
キリスト教の魔女・・・Maleficus
キリスト教が本格的に魔女狩りを行うようになったのは、14世紀になってからです。
そして、魔女狩りがもっとも盛んだったのは、16〜17世紀の事でした。理性の復興を告げるルネサンスが15世紀の事です。16〜17世紀といえば、ガリレオ・ガリレイやケプラー、ニュートンなどが活躍した時代です。地動説がとなえられたのは16世紀、ケプラーの天体運動の法則が発見され、万有引力の法則が発見されたのは17世紀の事です。このように、ヨーロッパ人は科学上の発見を行い、理性と知性による進歩と遂げながら、同時に魔女を残虐に拷問し、火あぶりにしていたのです。キリスト教の魔女狩りでは、魔女はいかなる罪で裁かれ死刑になったのでしょう。これらについて最もよい文献といえるのが、二人のドミニコ会異端審問官、ヤーコプ・シュプレンゲルとハインリヒ・クラーメルの共著である『魔女の土』です。
1485年(1486年、1487年ともいわれます)にドイツで出版されたこの書によると、魔女は「悪魔と盟約を結んで悪魔に臣従し、その代償として悪魔の魔力を与えられ、超自然的な妖術を行うことができる」ものとされています。魔女の邪悪なる点は、何よりキリストの恩寵を捨て、悪魔の洗礼を受けたことにあります。魔女は悪魔への忠誠の印として、衣服の一部を与えます。逆に、悪魔は魔女に臣従の印として、悪魔の印を刻みます。悪魔の印とは、小動物や昆虫形のあざで眼には見えない場合もありますが、その場所は痛覚がなく針を刺しても血が流れないのです。魔女の悪行の最もたるものが、魔女集会〔サバト〕である。魔女集会に出席する魔女は、死体を墓場から掘り出して、玉座に坐る魔王にささげます(死体は、子供の死体がよく、自分の子供の死体なら更によい。まして、自分の子供をくびり殺して、その死体をささげるならば最高なのです)。そして、首と手足を切り落とし胴体を焼き、それを食します。ただし、死亡だけは魔女の軟膏の材料にする為、保存しておきます。また、キリストへの反逆の証として、十字架を踏みつけにし、悪魔の尻に接吻します。そして、悪魔を真の神と崇拝します。更にサキュバスやインキュバスと乱交します。このように、忌まわしい集会によって堕落した魔女は、その魔力によって様々な悪事を行います。 魔女という言葉から、女ばかりだと誤解するむきもありますが、男の魔女もいます。ただ、火あぶりになった魔女の8割以上が女性だったことから、誤解されているのです。職業別にみると最も魔女が多いのは、産婆や羊飼いです。産婆は、子供を産ませるときにいかがわしい薬草などを使います。赤ん坊が死んで生まれるのは産婆のせいだからなのです。羊飼いは、他人と接触せずに一人だけで森や荒野をさまよっています。その間に、誰にも見られずに忌まわしい行為を行うのです。とはいえ、魔女はそのような下層民ばかりではありません。金持ちの商人は、その魔力で商売に成功したのです。
美しい娘で求婚者が引きもよらないのは、魔力によって男たちを魅了しているからなのです。
それどころか、大司教であっても、悪魔の力で司祭たちをだまして大司教の座に登りつめたのです。かくも邪悪で救いのないものが魔女なのです。
|