【ミルトンのデーモン】
Milton's demons
ジョン・ミルトン Milton(1608-74年)は秘教デーモン学的な詩【失楽園】〔1663年には書き上げられていました〕と【復楽園】(1671年)の著者です。サタンやその郎党に対して芸術的熱情をささげているにもかかわらず・・デーモン愛好家としてよりも、詩人そして古典主義者として執筆しているので、ミルトンをデーモン学者と呼ぶのは公平ではないでしょう。
しかしながらミルトンは明らかに秘教家であって、このことが先にあげた偉大な叙事詩の数多くの詩行にはっきりとあらわれています。
ミルトンのデーモンに対する言及はもっぱら聖書に基づいており、ミルトンは技巧に富む表現を心がけ、細部を正確に描写することよりも、意味や言葉をもてあそぶほうが多いのです。ミルトンのデーモンすべてが聖書の伝承に由来すると述べたい誘惑にかられますが・・・これは必ずしも正しくないです。ミルトンのデーモンは、その多くが聖書に見出される名前をもっているにもかかわらず、聖書の釈義で、述べられる神々や擬人化したものをめぐって展開したデーモン学に多くを負っているのです。
このようにしてマモンが想像力たくましい聖書の解釈から生み出された一方、デーモンのペオルに対するミルトンの言及は、おそらく聖書というよりヒエロニムスによるものでしょう。ミルトンの有名なムルキベルさえ、明確な文学上の目的があるにせよ、古典の伝承から直接持ち込まれたものなのです。新しく堕天したデーモンどもに、主として追放された神々や英雄に由来する名前を与えるのは、ミルトンの大胆な文学的手法です・・。【失楽園】第一巻で、叙事詩の流儀にならい、謀叛の天使達をデーモンとしての評判によって紹介する有名なくだりで、ミルトンは古典の言及に満ちた独創的なデヴィルのリストを提示しています。少なくとも表面的にはミルトンのデーモンどもは聖書によっていますが、一人ないし二人は古典および神話に基づきます。〔索引〕にあるリストでは、デーモンについて何がとりわけミルトン的であるかを示すため、【失楽園】第一巻の簡単な分析や引用を行います。そこにあげる資料は、広いデーモン学の伝統における個々のデーモンを扱っており、ミルトン自身の時に曖昧な言及にささやかな光を投げかけるためのものです。ミルトンのデーモン画廊を飾る最もすぐれた挿絵は、明らかにブレイクおよびフランス人画家ギュスターヴ・ドレによるものです。
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