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【ルーン】

RUNA,RUN

『古エッダ』と呼ばれるアイスランドの神話の「オーディンの箴言」によれば、北欧神話の知恵ある神オーディンは、更なる知識を求め、自らを生贄として儀式を行いました。自らを槍でさしたうえ、トネリコの枝で首をつったのです。9日9夜のあと、彼の意識は冥界へと行き、そこで秘密の文字を得ます。それこそが、魔力を秘めた文字、ルーンだったのです。
同時に、ベルソルの名高き息子たちから、九つの魔法の歌を習ったというが、これはまた別の話となります。つまりルーンは、人間の作った魔法ではなく、神々の創造した魔法なのです。
ルーン碑文にも〈runo fahi raginakudo>(神々より由来せるルーンを描けり)などと書かれていることからも明らかです。ゲルマン語のルーンという言葉だが、〈runa〉はギリシア語の『秘密』『奥義』、『神意』『決議』『目論見』、『協議』『決定』という六つの言葉を訳すのに使われています。また、〈run〉は『ささやき』『神秘』『秘密』『魔術の念で書かれたもの』などの意味があります。つまり、本来は『神秘』とか『秘密』という意味で、それが転じて『(秘密を)ささやく』となりさらに『協議』や『決定』という意味になったらしいです。ルーンとは何よりも秘密なのです。最近の類書では、魔法をかけるのに使うアルファベット以外の文字や記号を、等し並にルーンと称していますが、これは著者の知識の不足をあらわしているに過ぎないのです。ルーンとは、三世紀頃からゲルマン民族が使ってきた文字のことをいうのです。現在、ヨーロッパで使われている文字は、ラテン文字(もっとも一般的なアルファベットの事)とロシアのキリル文字、ギリシア文字の3種類です。
しかし、古代には多数の民族がそれぞれ固有の文字を使っていました。しかし、それらの文字のほとんどは、ラテン文字に席巻されて歴史の中に消えてしまいました。ルーン文字も、そのような文字の一つなのです。ルーン文字を使っていたのは、ゲルマン民族でした。そのため、彼らのきたことのある土地には、ルーン文字の刻まれた石碑がそこかしこに散在しています。北欧を中心として、東は黒海から西はグリーンランドに至るまで、各地に存在するのです。ルーン文字は3〜13世紀の千年以上にわたって各地で使われた為、いくつものバリエーションがあります。その最古のものが「ゲルマン共通フサルク」と呼ばれるルーン文字である。この【フサルク】という呼び名は、ルーン文字での並びにおいて、最初の6文字を取ってつけた名前で・・例えると日本における【いろは】と同様といえます。このルーン文字は24文字からなり、スウェーデンやデンマークなどの北欧だけでなく、フランスやユーゴスラビア、ポーランドやルーマニアあたりでも使われていたらしいです。しかし、その例は少なく全部で200あまりしか!ないのです。第二のルーン文字(【枝のルーン】ともいう)は9〜12世紀にスウェーデン、デンマーク、ノルウェーの北欧三国でのみ使用されたもので、16文字からなります。ヴァイキングが活躍していた頃のルーンは、大部分がこのルーン文字になっており、簡略化されています。こちらの例は非常に多く、解読も容易に行われています。彼らヴァイキングは、ヨーロッパ全域に出没した為、枝のルーンでかかれた石碑などは、黒海沿岸からグリーンランドにまで広がっています・・・余談ですが、これを証拠にアメリカを発見したヨーロッパ人がコロンブスでないことが証明されたのです!・・・。しかし、解読された第二のルーンには魔術関係のものがなく、ルーンの魔力の解明には至っていません。第一のルーンにこそ、その魔法が隠されているのかもしれません・・。ルーン文字は、垂直線と斜め45度の直線のみから作られた非常に特徴的な文字です。ラテン文字などと比べて、曲線を排したところに特徴があります。これは、石や金属、木材に刻み込む為に作られた文字だからなのです。石碑や武器、護符や服飾品などに刻まれています。他にも、風化して失われたものも多いですが、樹や骨などにも刻んでいたらしいです。ルーン文字は、3世紀からその終焉たる13世紀頃まで、ほとんどその形を変えていません。かな文字などは、平安時代と現代とでは別物のように見えますが、ルーン文字は千年の間、まったく変わらなかったのです。
素早く書くのに向いた速記体などは、最後まで作られることはありませんでした。これは、ルーン文字が、アルファベットのような表音文字(文字は発音を表現します)であると共に、漢字のような表意文字(一文字一文字に意味があります)でもあったからと考えられないでしょうか?それゆえ、一文字一文字を安易に書くことが許されなかったのかもしれません。魔術的見地に立てば、魔法を発生させる為の文字の形は厳密であり、わずかな変更が魔法の失敗を意味するからかもしれません。しかし、このことがルーン文字の衰退の原因ともなったのです。紙が発生して文字を紙の上にペンで書くようになると、書くのに時間がかかるルーン文字は不便なので、段々と使われなくなっていったからです。それはルーン魔術の消滅をも意味しています。さて、現在残されたルーン文字は、どのようなものがあるのでしょうか?ヴァイキングが残した石碑には、船で旅立ったまま帰らなかった息子の生涯を刻んだものや、偉大な父の業績をたたえものなどが多いです。いわば慰霊碑や記念碑のようなものです。それでは、装飾品や武器のように持ち歩くものに、何故ルーン文字を刻んだのか・・もちろん、当然の使用法として、名前を刻むというものがあります。この名前が、所有者を意味するのか製作者を意味するのか、送り主なのかまでは不明であります。また、「誰々が作る」といった制作者を明示したものも存在します。しかし、それだけではないのです。武器に、「試すもの」とか「吼ゆるもの」といった強そう名前を刻むことも、盛んに行われました。神々の王オーディンの槍がグングニル(揺らめくもの)という名を穂先に刻んでいると、『古エッダ』にかかれていますが、戦士たちもそれに習い自らの武器に名前をつけたのでしょう・・。
下記にあるものはルーン文字の並びです。

ゲルマン
共通
フサルク

名称

音価

意味

第二
のルーン

音価
(枝のルーン)

1

フェフ

wealth 家畜、富、財産

f

2

ウルズ

aurochs 野牛(オーロック)、鉱さい(スラグ。金属精錬の際に溶融した金属から分離して浮かび上がるカス)、にわか雨

u

3

スリサズ

giant 巨人、いばら

th

4

アンサズ

god 神、河口

a

5

ライゾー

riding 騎馬

r

6

ケーナズ

ulcer,torch,skiff 根太(腫れ物)、松明、船

k

7

ゲボ

gift 贈り物、物惜しみせぬ事

8

ウニョー

joy 喜び、牧草地

9

ハガラズ

hail 雹

h

10

ナウシズ

need,necessity,hardship 困苦

n

11

イーサ

ice 氷

i

12

イェーラ

year,fruitful year,harvest 夏、豊作、収穫、年

a

13

エイフワズ

イェ

yew tree イチイの木・材

14

ペルス

不明 ?

15

アルギズ

sedge? スゲの木?、大鹿、防御、庇護

16

ソウェル

sun 太陽

s

17

テイワズ

Tyr,Old English Tiw テュール(戦い・正義の神)

t

18

ベルカナ

birch twig 白樺の枝

d

19

エフワズ

horse 馬

20

マンナズ

man 人間

m

21

ラグズ

water 水、海

l

22

イングズ

ング

the god lng イング(神名、英雄名)

23

ザガズ

day 昼、日

24

オースィラ

inherited land or possession 遺産、土地